【感想】映画「君の名は。」は時間SFもので感動ものだったわ【小説ネタバレ】

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【感想】映画「君の名は。」は時間SFもので感動ものだったわ【小説ネタバレ】

君の名は

【小説感想】映画「君の名は。」は時間SFもので感動ものだったわ【ネタバレ】

「秒速5センチメートル」「言の葉の庭」の映画監督である新海誠の最新作『君の名は。』「今回小説は書きません」と宣言していたらしいが、8月26日の映画公開を前に6月18日小説で発売されたので読んだ。

真逆の生活をしている2人の入れ替わりを描いていく。毎日数十ページずつ読んでいくかと軽い気持ちで読むと、二人の抗っていく姿に夢中になり2時間ほど一気読みをしてしまった。

「君の名は。」は身体の入れ替わりというメインテーマだけではなく、千年ぶりの彗星という目印を起点とし出会ったことのない少年少女がお互いに探し合い奇跡を起こす。そこに時間SFものを足していき、ムスビ(結び)を混ぜて残酷な世界に抗っていく物語だ。

物語の中盤、ある真実を知った時には鳥肌が止まらなかった。

山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉、そして、東京に暮らす男子高校生の瀧。
出会うはずのない二人は、ある日、お互いの存在を知る。それは、心と身体が“入れ替る”、不思議な夢の中で……。
少年と少女が経験する恋と奇跡の物語。世界の違う二人の隔たりと繋がりから生まれる「距離」。
新海誠はその物語を圧倒的な映像美とスケールで描き出す。

誰もが経験したことのない、アニメーションの新領域。
新たな“不朽の名作”が、この夏、誕生する!

http://www.kiminona.com/

続きはちょいネタバレを含みます。

「君の名は。」のみどころ

身体の入れ替わりに興味を持つ普通の少年(瀧)少女(三葉)

本屋もない、電車は二時間に一本しかない田舎にうんざりしている女子高生・三葉は、都会に憧れていた。そんなある日、男の子になる夢を見る。そこでは都会が広がっていて、その男の子の普段の生活をしていく。

俺が、女?突然、目が覚めたら身体が女の子になっていて混乱する高校生・瀧。

そんな二人が「お前は誰だ?」というメモから、お互いに興味を持っていく。そして、お互いに日記をつけ行動を管理していく。お互いに禁止令というルールを決めていくがお互いに勝手な行動を取ってしまう。

ある時、瀧の好きな子と入れ替わりをした三葉が勝手にデートの約束をして応援する。

その日以降。入れ替わりが起きなくなってしまう。

ムスビ(結び)という二人を繋げるもの

初めは日記というもので繋がっていくが途切れてしまう。記憶と忘れるといった人間の自然な能力の中、大切なことを忘れていく。瀧は毎日眠りに落ちる前に三葉と入れ替わりをすることを願うが三葉にはなれない。

そこに対して何とか繋がっていこうとする瀧は、三葉を探しに行く。

かろうじて三葉の手がかりを見つけるが、絶望としか言えない衝撃の事実が待っている。

正直序盤との落差が激しすぎて、この事実がわかると鳥肌が止まらなかった。

二人を繋げるものは記憶だけになったが、瀧は記憶を頼りに細い繋がりを手繰り寄せ、抗い、過去改変をしていく。

何度も途切れそうになっていく

何もかも忘れてしまう。があるきっかけをもとに、なにを誰かもわからない忘れた細い記憶が何度も気になる。そしてもがいていく瀧の姿が繋がりを消しまいとする強い気持ちに心を打たれる。

季節が変わっても、ずっと気になっていた。ある日、少しのムスビがやってくる。

「あとすこしだけ」

終わりに

「秒速5センチメートル」は喪失。見終わった時に切なさがこみ上げたのに比べ、「君の名は。」は抗うというところが見終わった時に安堵の気持ちで満たされた。

「俺は、出逢う」「私は、出逢う」このシーンは内容を見た人にしかわからない救われた場面だ。映画ではどんな気持ちで見れるだろうかと楽しみに待っていこうと思う。

最後に作品は映画でも小説でも見るべき。あとがきにも「小説版は瀧と三葉の1人称、映画はそもそもが3人称。なので相互補完的になっている」とあるので映画も小説も見るべきだ。どちらかを先に見るかは好みだが、どちらを先に見てもどちらも見たくなるだろう。